インド、Patangarh訪問
インドを訪問してきました。
今回は絵の購入だけでなく、
ゴンド画の師匠と呼ばれるJangaarh Singh Shyamの生家を訪れ、
画家たちが愛した村の自然を見てくることも目的の一つです。
Madhya Pradesh州の都市Jabalpurから車で4-5時間。
乾燥した草原地帯が広がっています。
草をはみながら悠然と歩く牛。
家は土に草を加えて作っています。
多くはないですが、いくつかの家の壁に絵のあとも見られました。
でもすぐに雨が降って流れてしまうとのこと。
Jangarhの家にそばにある彼の胸像。
村人達が自分たちのお金で作ったそうです。
かけられた花飾りも新しく、今も村の人に尊敬されていることがよくわかりました。
村の住人たちは基本的には農作業で生活していますが、
現在はアートセンターなるものが作られて絵を学ぶ村人もいます。
昔このあたりにイギリス人の医師エルヴィンさんという方が住んでいて、ゴンド族の娘さんと結婚されたそう。
彼はゴンド族や、周囲の先住民族について著作を出しています。
アートセンターも彼の土地に数年前に建設されました。
当初、このアートセンターは文化保護、観光誘致が目的で建てられたそうなのですが、
今は特定の業者がトレーニングという名目でここで村人たちにお金を払って大量の絵を描いてもらい
まとめ買いして都市で安く売りさばいているそうです。
ルーティーンワークのように同じ絵を描き続ける様子に、正直悲しくなりました。
Jangarhの一貫した教えは「オリジナルを磨け」。
だからこそ、人を魅了することができる作品ができるのだと思います。
ただ一方で村の貧しさもあります。都市で成功しているゴンド画家の話を聞いて、
真似してでも少しでもお金にしたいと思う気持ちも分かります。
Touch the GONDとしてこのことをどう考えるかは次の課題だと思っています。
さて、この村では2軒の家を訪れました。
ガイドさんがあらかじめ伝えてくれていたらしく、私たちが行くと村人が次々集まってきました。
皆何しに来たのか不思議そうに見ています。こっそり写真を撮られたり。
(テレビもカメラもない家でも、なぜか皆スマフォは持っています)
村の話を聞きながら絵も見せてもらいました。特に印象深かったのは次の2点。
こちらは、豚に子供を取られようとしたお母さんが逆に捕まえてしまうという物語。
そしてこちらは、村の神様へお祈りをささげているところ。
絵を持っているのは画家のKamli Maravi。
まだ若く無名の画家ですが、オリジナル性という意味でこの絵を購入することにしました。
伝統的な弦楽器ヴァーナーの話をすると、今では村の唯一の弾き手となったBalaramさんが演奏してくれることになりました。
家の中庭に布を敷いて突如はじまる演奏会。
ヴァーナーは竹や馬のしっぽなどを組み合わせた手作りの楽器です。
ちなみに手前にあるビール瓶にはモフワ酒という植物から作ったお酒が入っています。
ヴァーナーにふりかけることで神が降りてくるのだそうです。
この演奏の様子などもまた展示会でご紹介したいと思っています。
弦を鳴らす弓につけられた鈴と深いギターのような音、詩を朗読するような唄声がまだ耳から離れません。
短い滞在時間でしたが、動物と人が共存する自然風景や、村の人たちの優しくチャーミングな笑顔、
漆黒の夜空に輝く満天の星を見て、ゴンド画家たちの目線に少し近づいた気がしました。